Life
アロマ
2016.06.14
日本でも注目!メディカルアロマテラピー
国によって変わるアロマテラピー
植物から抽出された精油を利用するメディカルアロマテラピーの特徴は、人間の身体に生まれながらに備わっている自然治癒力を高めることにあります。
香りを感知する嗅覚は、五感のなかでもっとも早くストレートに、脳へと情報を伝えてくれます。この脳への刺激によって、自律神経や内分泌機能の調節に働きかけ、健康や美容にうれしい影響をもたらしてくれます。
実はアロマテラピーの流れは大きく分けて2種類あることをご存知ですか?
精油の力で体を治療する「フランス式 メディカルアロマテラピー」と、マッサージやリラクゼーションを香りと組み合わせた「イギリス式 リラックスアロマテラピー」です。
メディカルアロマテラピーは、その名前のとおり医療にアロマを活用すること。フランスでは精油を用いた医療=メディカルアロマテラピーとして、医師が精油の働きを科学的根拠に基づいて、臨床で役立てています。芳香だけにとどまらず、経口、皮膚塗布、座薬としても使われています。
アロマテラピーはもともと、1937年に、フランス人の化学者ルネ=モーリス・ガットフォセによって発売された「Aromathérapie」(アロマテラピー)という本から生まれました。1910年に彼が、研究室でひどいやけどを負ったとき、一般的な治療ではよくなりませんでした。しかし、傷口にラベンダーの精油を塗ると、すっかりキレイに!その経験がきっかけとなり、精油を用いた治療法の研究がヨーロッパを中心にスタートしたのです。
厳重に精油が管理されているフランス
本場フランスでは医療に精油を使うので、精油は薬局で扱われていることがほとんど。医薬品として使われる精油は、原料となる植物の栽培に農薬は一切使わないなど、国が厳しく管理しています。そして医師の処方箋をもとに、薬剤師が精油をブレンドしてくれます。
フランスでは精油を使った実験も行われており、ブレンドした精油を吐き気を訴えた患者に塗ったところ、30分以内に73名のうち、50名が症状が収まったとのこと。なんとも興味深いですね。
一方で、イギリス式はリラックスを目的としています。精油をマッサージなどに取り入れ、心身の疲れをとったり、ストレスケア、美容ケアをしたり…。日本では、残念ながら精油は医薬品として認められていないので、イギリス式が現在の主流になっています。 しかし、最近ではそのアロマテラピーのパワーを、病気予防やリハビリテーションに活かそう!と、医療に取り入れる日本の医師や団体が増えているのです。
代替医療としてのアロマテラピー
日本では代替医療の一環として、アロマテラピーが注目され始めています。代替医療とは統合医療という考えの中で、西洋医学以外の漢方や鍼灸などの医療全般を指します。病気や治療法だけを重視せず、健康増進や病気の予防などの自然治癒力の向上を目標として、アロマテラピーが取り入れられるようになってきました。
たとえば心療内科や精神科ならば、心身の緊張をほぐすために使われ、うつ病の症状緩和に期待されています。産科・婦人科では月経前緊張症や更年期障害、出産前後のストレス緩和に、アロママッサージを取り入れる所があります。
植物の恵みが1滴のなかにぎゅっと凝縮された精油。そこには、植物の生命力、天然の化学物質がぎっしり詰まっています。メディカルアロマテラピーは、植物がもつパワーによりその人がもつ本来の免疫力、ホルモンや自律神経のバランス調整能力を引き出してくれるのです。
今の日本では医療行為として見られるメディカルアロマテラピーは医師の管理のもと行わなければいけませんが、精油は香りを嗅ぐだけでも気持ちがほっと落ち着いたり、リフレッシュできたり、ポジティブな気持ちをもたらしてくれるもの。
まずは日々の生活に香りを取り入れることからアロマテラピーをスタートさせてみてはいかがでしょうか?